禁止を定義する世界

プログラマコンピュータと戦う人たちです。
この強力な友であり、獰猛な怪物でもあるコンピュータを飼いならすのが仕事です。
 
コンピュータには慈悲がありません。
プログラマがどんなに「空気読め」「常識的に考えてそれはないわ」と訴えても、無慈悲に暴走します。
あらゆるプログラムは、OSを破壊することができ、メモリーの内容を破壊することができ、ファイルを破壊することができます。
純粋なPCの上では、プログラムをたった1文字間違えるだけで、PCがフリーズするなど日常茶飯事です。
 
なので、プログラマの世界は「禁止を定義する世界」なのです。
幸いWindowsのような近代的なOSは
・OSを破壊できない仕組み
・他プログラムが使っているメモリーを破壊できない仕組み
・権限の無いファイルを操作できない仕組み
が組み込まれており、すなわち禁止されています。
 
今回ドワンゴ
「フリーズの修正を認めます。ただし棋士の研究が無駄になるような結果を生まないように」
と要請しました。
このドワンゴの要請に対し、やねうらおさんが「バグバグの探索部をまるっと取り替える」という手法をとったことに文句を言うプログラマ、1人もいないと思います。
そのバグバグの探索部が、「3年前に突貫で作って放棄したものをサルベージしたもの」ということであれば、なおさらです。
 
もしプログラマ視点でやねうらおさんを責められるとしたら、禁止であった「棋士の研究が無駄になるような結果を生まないように」という部分を守れなかったことのみです。
なので、プログラマなのに「探索部をStockfishのものに入れ替えたのだから、約束破りは故意だったに違いない」と言う人は、事情を理解していないか、失格プログラマです。
 
山本一成さんや平岡さんは事情を理解していなかっただけだと思います。
事情が公開された今、メールなりでやねうらおさんとは和解されることでしょう。