どうしてクリムゾンシュラウドはダイスゲーム失格なのか

文句ばっかりつけていても「なんだこいつ偉そうに」と思われるだけである。
いや、このブログ自体ほとんど身内しか見てないので問題ないとは思うのだが。

さて、なぜクリムゾンシュラウドはダイスゲーム失格なのかということを書いておこうと思う。
ゲームデザインする人の頭の隅にでも残ってもらえれば幸い。

ダイスは単なる乱数発生器ではない

もともとなぜTRPGでダイスが使われていたかと言うと、乱数を発生させるためである。
コンピュータの世界では、ダイスに頼らずとももっとスピーディーに乱数を発生させることができる。
なので本来コンピュータRPGにはダイスは不要なのだということを念頭においていただきたい。
 
しかしダイスには副産物があった。
6面体ダイスの最高値はいくつだろうか?
最低値はいくつだろうか?
当然すぐに答えられるだろう。
つまり、自分の行う行為が明瞭なのである。
もう一度言う。
明瞭なのである!
これがダイスゲームの大原則だ!
ゲームマスター(以下GM)に「6面体ダイスを振って、4以上出せば成功だよ」と言われれば、ふる前に見当がつく。
6面体ダイスをふって、7が出ることは無いし、0が出る事も無い。
説明するまでもなくそうだ。
コンピュータRPG不明瞭なランダムとは一線を画す直観的な提示ができるのがダイスゲームのウリなのである。
そしてそこから得られる納得感こそが、ダイスゲームの最大のウリなのである。

不明瞭なクリムゾンシュラウド

クリムゾンシュラウドで最もおかしい部分は、魔法の成功判定だ。
例えばアナライズという魔法を使おうとしてみよう。
カーソルを合わせると、成功率は「DICE%」と書かれている。
は?
ん、まぁいいや。とりあえずGMよ、私はアナライズを使うのを検討しているんだが、目標値はいくつだい?
GM「4面体2つと、6面体1つと、8面体1つと、10面体1つをふって16以上だせば成功だよ」
はあ?
GM、それは確率どの程度なんだい。
っていうか、何でそんなふる物がバラバラなんだ? 何の意味があるんだ? 何の嫌がらせなんだい?
平均値は18.5だからまぁ成功できそうか。
ボーナスダイスをつぎ込んで成功率を高めたいんだが、良いかい?
GM「命中判定のある魔法以外ではボーナスダイスは使えないんだ。アナライズとかデバフ魔法は対象外だね」
はああ?
デバフ魔法こそボーナスダイスで成功率を高めたいんじゃ……。
まぁいいや。成功率もあまり高くないし、リスクを冒してまで唱えたい魔法じゃないな。
別の魔法を使うことにするよ。
GM「キャンセルはできません」
はあああああああああああああ!?
 
これは全て真実です。
クリムゾンシュラウドでは、目標値を確認した段階でキャンセル不可能です。
ボーナスダイスでフォローすることもできず、ユーザーができることはGMに渡されたダイスをふることだけです。
てめえがふっとけやボケがあああああああああ!!!
何のために私にふらせるの?
馬鹿なの?
マジで馬鹿なの?
何の意味があるの?
ダイスふる演出がウザいだけじゃないの?
まさか「ダイスを振る行為そのものが楽しいですよね^q^」とか気が狂った考え持っているんですかね?マジですか?

行為はキャンセルできなければならない

TRPGでは、全ての行為はキャンセルできなければならない。
これはもう、TRPGでの絶対の不文律であり、絶対の法則だ。
理由を説明しよう。
 
TRPGでは、世界観や現在の状況などの全ての情報をGMが管理している。
ユーザーはGMの口を通してしか状況が聞けない。
自分のキャラクターのことすら、GMが管理しているのである。
 
例えば「5メートル先の空き缶をとる」という行為一つとっても、ユーザーには難易度が分からない。
なぜなら、足元が単なる廊下なのか、針地獄なのかはGMが説明しない限りわからない。
なのでユーザーは聞く。
ユーザー「GMさ、5メートル先に置いてあるっていう缶をとりたいんだけど、できるかい?」
GM「ああ、それを行うのかい。わかった。実は床は針地獄でしたwwwwはい、死亡wwww」
なんていうGMが居たら、二度と一緒に卓を囲むことは無いだろう。
GM「ああ、それを行おうとするのかい。だが床が一面針地獄なんだ。これを回避しないと缶はとれないね。どうする?」
こう返すのが普通だ。
つまり「缶を取りたかったが、ひとまずキャンセルした」という状況になる。
 
次にユーザーはこう聞く。
ユーザー「俺のキャラは盗賊だったな。針地獄を飛び越えようと思うんだが、立ち幅跳びで越える場合の難易度は?」
ユーザーは、針地獄の詳細が分からない。
それどころか、自分のキャラの身体能力が分からない。
なぜならキャラは盗賊だが、ユーザーは盗賊じゃないからだ。盗賊の身体能力なんて知るわけがない。
コンピュータRPGで「素早さの値が23だよ」とか書かれていても、なんだよ23って。どのくらいだよ。さっぱりわからないよ。
 
GM「6面体ダイスを2つふって、8以上がでれば成功だね。はい振って。キャンセル不可」
なんていうGMが居たら、二度と一緒に卓を囲むことは無いだろう。
GM「6面体ダイスを2つふって、8以上がでれば成功だね。失敗したら20点程度のダメージを受けて再チャレンジになりそうだ。やるかい?」
こう返すのが普通だ。
その上で、ユーザーは問う。
ユーザー「隣の部屋に落ちていた板を敷いて、その上を歩いていけば針地獄を突破できるかい?」
GM「おお、できそうだね。それならバランスを崩して板から落ちない限り大丈夫だ。6面体ダイスを2つふって4以上なら成功にしよう」
この、提案と回答のキャッチボールこそがTRPGの醍醐味だ。
 
ここまで説明すれば分かってもらえただろう。
やりたい行為の難易度を聞いたら、キャンセル不可なんていう罠仕様は、断じてTRPGではない!!

行為は選択できなければならない

また、クリムゾンシュラウドには選択肢が無い。
ストーリーの選択肢もほとんどないが、行動の選択肢はまったくもってない。
 
ゲームが始まった直後、ゴブリンに矢を撃たれるシチュエーションがある。
この時選択肢が出る。
「身をひねってかわす」「武器で矢を叩き落とす」
TRPGゲーマーなら当然考えるであろう。
前者は素早さ判定。後者は武器を扱う器用度で判定かな。と。
クリムゾンシュラウドにそんな当たり前は存在しない。
単なる文章の選択肢であって、判定が変わるなんてこともない。
っていうかその段階で、主人公が素早さに優れているのか、武器の扱いに優れているのか提示すらされてない。
 
始終こんな調子だ。
「敵に見つからずに部屋を抜ける時」も、別に何も選択肢はない。
単に「ダイスふってね。8以上で見つからないよ」と言われてふらされるだけだ。
しかも当たり前のように、ボーナスダイスを使うことができない。
 
何のためにダイスをふらされているのか、本当にまったく意味がわからない。
 
正しいTRPG風ゲームなら、このようになるはずだ。
「ゴブリンハンターの矢が放たれた! 君はそれを防がなければならない!」
・武器で矢を叩き落とす。
 (器用度の値+6面体×2で16以上で成功ノーダメージ。失敗すると20ダメージ)
・ぎりぎりで身をひねってかわす。
 (素早さの値+6面体×2で12以上で成功5ダメージ。失敗してもダメージ半減で10ダメージ)
どちらを選ぶ?。
自分のHPが8だったらどっちを選ぶ?
自分のHPが16だったらどっちを選ぶ?
自分の器用度が12、素早さが4だったら?
ボーナスダイスをつぎ込めるなら?
それらを複合した場合、どっちを選択したい?
この選択こそがゲームである。

実はアンチだろ

ここまでくると、もうわざとやってるとしか思えない。
ダイスを振るゲームを貶めるために、わざと悪いところだけを抽出したとしか思えない。
 
このゲームをやった人は、ダイスゲームの良い所を何も知る事がないまま、ダイスを振らされる=ただただメンドイという印象だけを持ちかえる。
実はダイスゲーム大嫌いなんだろ?
嫌がらせで作ったんだろこのゲーム。
分かってます。
 
もしくはダイスゲーム1個もやったことなくて、噂だけ聞いて推測で作ったんだろ。