「源平大戦絵巻がアップデートした件」を読んだ上で、リリースされるゲームの出来るまでについて書きなぐる

http://d.hatena.ne.jp/yaneurao/20110716#p14
やね先生のところ「源平大戦絵巻がアップデートした件」の記事を読んだ上で、最近思ってることを書きなぐる。
 
やね先生のところの記事はこんな感じ。
・やね先生が源平大戦絵巻というiPhoneゲームをプレイ
・仕様が穴だらけで、永久パターンなどが盛り沢山
・ブログにひどい出来だと色々説明を書く
・最近アップデートで、指摘箇所が全部直された

というかだな、こんなもの開発時に気づかないのはどうかしている。SEGAにはまともなゲーマーは一人も居ないんだと思う。

現状、大手と言われるゲーム会社にまともな人材はそういません。
直接私と会話する友人は既に色々酒飲み話として聞いてるでしょうが、ブログでは当たり障りのないラインで何か書こうかなと。
書きなぐったので読みづらいかもしれませんが、ご容赦ください。

クオリティーチェック

まず、大手の下請けやっていると、発売前に「クオリティーチェック」という期間が設けられる場合がほとんどです。
これは、大手の「クオリティーチェック部隊」がゲームを審査し、大手の名前において発売して良いか。それにふさわしいかどうかをチェックされます。
一見とても良いシステムに見えますが、これがある意味ザルです。
 
当然、バグは厳密にチェックされます。
これは大変ありがたいし、クオリティーチェック部隊の熱心さは異常なくらいです。

次に見た目チェックです。
大手の作品として売るにふさわしい見た目か。
これもかなりチェックが厳しいです。コンシューマになれば「文字が1ドットずれている」レベルまでチェックされることもあります。
また、見た目的に「操作が分かりやすいか」といった点もあわせてチェックされます。
 
以上です。
これ以外はチェックされません。
あれ?ゲームの面白さとか、バランスは?
チェックされません。
クオリティーチェックでは、ゲームの面白さはクオリティー扱いされていません。
 
では、面白さやバランスについてはどこで保証するのか。
これは2系統に分かれます。
 
(1)保証しない
大抵これ。「面白さやバランスなんて、売れ行きには関係ありませんから」というタイプ。
実際これはある意味正しくて、面白さやバランスなんて「買った後にしか分からない」ので、つまりもう売れちゃっている。だからどうでもいい。
口コミを期待しないって割り切れば、この売り方もありです。
実際冷静に考えてみると「口コミでジワ売れしたゲーム」というのが「特別視されて語られる」程度には、そんな口コミジワ売れゲームは数が存在しないって考え。
会社の信用を食いつぶしてるタイプですね。
 
(2)実績のあるプロデューサーに遊んでもらう
大手の中には、過去に大物ゲームを作ったプロデューサーが何人もいます。
新しいゲームの完成版を、その大物プロデューサー達に遊んでもらって「これ面白いね」と言ってもらうという方法。
「○○さんが面白いって言ったので、きっと売れますよ!」という説得方法で上司を説得し、発売に踏み切ります。
 
しかし考えてみて欲しいんですが、そんな大物プロデューサーが長時間そのゲームをやってくれるわけがない。
つまりゲームが始まって、ごく最初の部分だけで判断してもらうわけです。
なので結局、本来の意味での面白さや、それこそバランスなんて評価対象外なわけです。
最初が「面白そうっぽく」出来ていればOK。なので見た目重視ですね。
 
というか、その大物プロデューサーが「これ駄目っぽくね?」と言った時が一番悲惨です。
まず「完成版を持ってこないと評価しない」っていうのが癌で、駄目だしくらったら作り変え必至です。
なので納期間際で「3ヶ月前に言えよそんなこと!」というレベルの駄目出しが来ます。
この業界の最大の問題は、完成版を見ないと評価できない「お前それユーザーレベルの能力じゃね?この道のプロなら、完成前に頭の中でゲームの完成系を想像して脳内プレイしておくべきじゃねーの?」ってレベルのプロデューサーが大量に居ることです。
だから開発費がウナギ登り。(作り直しとなると)開発期間も伸びまくり。
 
新作ゲームのプロデューサーは「いかに大物プロデューサーをだまくらかして、面白そうというハンコをもらうかに必死」です。
最初から最後までそれに必死なプロデューサーはかなり多いです。
 
しかし、こんな「ゲーム屋としてそれはどうなの?」というプロデューサーも、優れているものを持っています。
それは「ユーザーにいかに金を吐き出させるかのノウハウ」です。
これは本当に優れていて、その方法論も非常にしっかりしています。実際に過去担当されたゲームでも相当な売上をあげていらっしゃる。
 
だいたいが「ゲーム性」と衝突し、ゲームをつまらなくし、ゲーム制作者のモチベーションを下げ、最後に出てきたのはそびえたつ糞のタワーになるんですが…。
 
というわけで、バランス調整なんてする時間は最初からスケジュールには入ってないんですよね。
あとは制作会社の心意気ひとつ。
私は「私が担当者として顔を出したものに関しては、自分の名にかけてゲームの面白さを追求する」というプライドで、バランス調整期間をねん出したり、残ってこっそり調整したりしますが…。
同社内であっても「その気がない人」とか「その気はあっても実力が無いので時間を捻出できない人」とか沢山いるしなぁ…。
 
みんな(やる気のあるところの)同人ゲーム買おうぜ!